運動不足の方に危険な階段下り!
PCの前に座りっぱなしの一日を過ごしていたり、車社会に慣れきってしまっている現代人の体は運動不足です。運動不足の下り階段は転倒の危険があります。今回は、下り階段の危険のメカニズムと、対処法について考えます。
階段下りは転倒の危険がいっぱい
運動不足の解消には日常的に歩く事が推奨されています。しかし、歩くときに気をつけなければならないことがあります。外歩きに避けては通れない階段。中でも下り階段は危険です!正確な数字はわかりませんが、階段での転倒事故による死者は年間で数百人、負傷者はその数十倍です。
階段下りは膝に悪い
階段下りの動作は片足での着地の動作の繰り返しです。あまり皆さん気にされたことはないかもしれませんが、膝の動きは、曲げて延ばすが基本です。ところが階段下りでは、曲げて曲げて延ばす不自然な膝関節の動きです。着地の時に膝の関節内の軟骨の半月板にも負担がかかります。
運動不足だと筋力が落ちているので、膝関節を守る事ができずに、さらに半月体を痛めます。できれば階段下りは、最小限にしましょう。
腸腰筋の衰えは転倒の元
腸腰筋は腰部の安定装置であり、良い姿勢を維持するのに重要な筋肉です。肉屋さんではテンダーロインと呼ばれる部分です。
腸腰筋(ちょうようきん・大腰筋と腸骨筋をあわせたものを指します)は、骨盤の中から始まり大腿骨(だいたいこつ/小転子)に付いているので脚の付け根以外では触れる事がありません。
大腰筋・アクセス方法
①仰臥位で腹部を少し屈曲させ、外旋させる。術者の大腿部を患者の大腿部の下に入れて支えとする。へそと上前腸骨棘を見つけ、このポイントで指の腹を他方の手の上に乗せ重ねる。
②腹部にゆっくり圧を加え、息を吐いたら移動する。小さく回り込むように加圧すると腹部内容を除ける)
③患者に股関節を少し曲げてもらい腹部組織でなく、腰筋の収縮(触診)を確認する。
この腸腰筋という筋肉は腿(あし)を挙げる時(屈曲・外転・外旋時)に使います。この筋肉が衰えて来ると腿が挙がらなくなり、わずかの段差で、躓いて転倒するようになります。高齢者の転倒の原因のひとつが腸腰筋の衰えにより、脚が挙がらなくなり、わずかの段差で躓くためです。
運動不足の現代人は、社会人になった時点で腸腰筋の衰えが始まります。通常の歩く動作では、腸腰筋をあまり使いません。運動不足の解消のために歩いても、腸腰筋をあまり鍛える事ができません。
そこでお薦めしたいのが日常動作の中の階段の利用です。日常動作の中で、例えば、電車や地下鉄などの公共交通を利用する時、建物内で上の階に行く時、できるだけ階段を使いましょう。始めは階段登りをすると、直ぐに脚が動かなくなります。一階上、次は二階上、その次は、三階上と徐々に段数を増やして行きましょう。
太ももを挙げて歩けば階段と同じ効果
日常生活で階段がない人や階段以外にも腸腰筋を鍛えたい人は、歩く動作でも腸腰筋を鍛える事は可能です。太ももを意識して、太ももを挙げる動作を歩行中にしましょう。脚の付け根を触れると腸腰筋の収縮が確認できるはずです。結果的に、歩幅が広くなり、早足になります。慣れないうちは、直ぐに脚が挙がらなくなります。続けていると長い距離でも平気になります。
筋肉に加えて、毛細血管が発達して、乳酸が溜らなくなって、筋肉が疲れにくくなるからです。
運動不足だという自覚のある方は今後、下り階段では安全なエレベーターを選び、登りは階段を使ったり、歩く動作に一工夫して腸腰筋を鍛えていきましょう。
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