WWEの帝王ビンス・マクマホン、60歳の驚異の肉体!
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60歳にして圧倒的な体を持つWWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)創設者、ビンス・マクマホン。『Muscle & Fitness』誌フォトセッションでその見事な肉体を公開するとともに、パワフルな生き方を支える体づくりについて語った。
マクマホンはいきなりズボンを脱いだ。彼にたずねたのは脚のシェイプと、今回のフォトセッションのテーマを脚のトレーニングにしたいかということだけだったのだが、マクマホンはすでに足首までズボンを下ろし、やる気満々だ。
このフォトセッションは決して“やらせ”ではない。スタンバイしているカメラマンには3人のアシスタントがつき、メークアップアーティストも忙しく動きまわり、さらにWWEの撮影担当クルーや、このフォトセッションを円滑に進行させるためにWWEのプロデューサーの姿もある。
もしこの撮影が“やらせ”だとすれば、マクマホン本人が滝のような汗を流しながら、5枚ものプレートをTバーに積み、ロウイングエクササイズで唸り声をあげるはずがない。プレートを5枚使ってほしいなどというリクエストは誰もしていないのだ。
トレーニングの持つ意味
プロレス界最強の興行団体、WWEのオーナーであり、大富豪としても知られるマクマホン。だが、このフォトセッションではお金もプロレスも関係ない。ここで問われるのは「体」だけだ。生涯をかけて鍛えてきたマクマホンの体だけが重要なのだ。
彼の娘のステファニーと結婚し、義理の息子となったWWEのスーパースター、トリプルH(ハンター・ハースト・ヘルムスリー)は、マクマホンから午後11時半頃に、「今、ウェイトトレーニングとエアロビックトレーニングを終えたところだ」という電話を受けることも珍しくないという。
そしてその翌日、マクマホンは午前8時には出勤している。トリプルHは驚きを隠せない。
「トレーニングをする時間などないはずなのに。会社ではおそらく誰よりも長時間働いている。でもトレーニングの時間はちゃんと確保しているんだ」
(ちなみにこのフォトセッションは、「今しかないよ。60歳という年齢でこれだけ素晴らしい体をしていることを世界中に見せるんだ。絶対に断ってはだめだ!」というトリプルHの説得で実現した。そして今、マクマホンは上機嫌ではしゃぎながらカメラの前に立っている)。
ワークアウトをして体を維持することは、マクマホンにとって重要な意味を持つ。単に体をつくるというだけでなく、トレーニングはマクマホンそのものをつくり上げているのだ。
素晴らしい体への憧れ
ビンス・マクマホン Vince McMahon/生年月日:1945年8月24日/出身地:コネチカット州グリニジ/身長:188cm/体重:240ポンド(108.9kg)/キャリアのハイライト:WWE会長職就任、プロレスの最大イベント“レッスルマニア”発起、アフガニスタン駐留米軍訪問(2005年)(データは2006年現在)
プロレスに関わる父と祖父に育てられ、世界トップレベルの肉体のすごさを見聞きし、プロレスビジネスを継承したマクマホン。少年時代にウェイトを手にして以来、60歳になる現在までトレーニングを続けてきた。毎週出張が重なるような日々のなかでも、トレーニングは欠かさなかった。
マクマホンは16歳でバージニア州の軍隊学校に入学した。抜群の運動能力から、当時は“フレックス(筋肉の収縮を意味する)”というニックネームをつけられていた。野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、レスリングなど、さまざまなスポーツに秀で、体を鍛えていた。当時のトップビルダーのスティーブ・リーブスや、自分が理想とする体を持つプロレスラーに憧れていた。
「私の時代(1950年代)にはまだアーノルド・シュワルツェネッガーなどいなかった。
サーカスで力技を見せるストロングマンやプロレスラー以外、肉体的にすごいと思える人間は、私が育った頃はいなかったんだ」
年齢は単なる数字
フォトセッションが進行するにつれ、一般の人が抱いているであろうマクマホンのイメージはどんどん薄れてくる。目にしているのは、ファーストネームの“ビンス”で呼ばれる、気さくなひとりの男にすぎない。といっても、“世間一般の60歳の男”でないことは確かだ。身長188cm、体重240ポンド(108.9kg)の絞り切られた体を持つ60歳の男がどこにいるだろう?トリプルHと同じペースでトレーニングをこなし、背中のワークアウト日はトリプルHさえ舌を巻くようなトレーニングを行う。ワンアーム・ダンベルロウにいたっては200ポンド(90.7kg)で行うのだ。
「(トリプルHは)エクササイズによっては私のほうがパワーがあることを認めたくないんだ」
そういって笑うマクマホン。さらにレッグプレスでは1200ポンド(544.3kg)を使っているのだ!
マクマホンは60歳にはとうてい見えないし、言動にも年齢をまったく感じさせない(2007年の8月には63歳になる)。この前年は週に3〜4回、トリプルHといっしょに鍛えていた。しかもそのトレーニングは“ハードでヘビー”そのものだ! すべてマクマホンが少年時代に憧れたチャンピオンビルダーのワークアウトを思わせるような本格派のトレーニングなのだ。ほとんどがフリーウェイトの種目で、高重量のベンチプレス、ベントオーバーロウ、スクワットなどをメインに行っている。
「マクマホンは“オールドスクール”だよ(ひと昔前の鍛え方をしている、という意味)」
そう話すのは、トレーニングパートナーのスティーブ・ストーンだ。ストーンは元競技ビルダーで、現在はNPC(アメリカのアマチュアボディビルの組織)副会長を務めている。
「マクマホンは決して楽な道を選ばない。自分に対しても誰に対しても、80%の努力ですますことがイヤなんだ。期待に応えられなくても、110%の努力をしていればマクマホンは認める。でも80%しか力を出していなかったら、たとえ十分すごい仕事をしていても、それ以上の努力を要求する。マクマホン本人がそうしているからだ。マクマホンがレスラーに要求することは、すべて彼自身が実践していることなんだ」
そして、マクマホンはこう語っている。
義理の息子のトリプルHと
「誰でも若いときは、健康や体を鍛えることの意義がなかなか理解できない。私はその価値を理解していたが、それでも現在ほどではなかっただろう。年齢を重ねればそれだけ、トレーニングやその結果の重要性がわかるようになる。私は30歳のときにやっていたトレーニングが、60歳の今でもできる。ただ、以前ほどの頻度ではできないだけだ」
まさに“理想のベビーブーム世代の男性”がここにいる。家族がいる、仕事が忙しい、面倒くさいといった言い訳を並べてトレーニングをしない同年代の男性がどれほどいるだろう。マクマホンの毎日のスケジュールは信じられないくらい過密だ。しかし、そんなことはマクマホンにとって言い訳にはならないのだ。
「(マクマホンは)全力で取り組むから、彼とトレーニングするのは楽しい」というトリプルH。マクマホン自身、他の人も自分のように体を鍛え上げることを望んでいる。
「人類は知的な面では昔より進歩したかもしれないが、たくましくなったとはいえない。本当に残念なことだし、理解に苦しむ。考えてみてほしい。体を鍛えていれば、すべてがよい方向に向かう。食事もおいしくなるし、毎日をもっと楽しめる。呼吸さえ楽になるのだ」
そう嘆くマクマホンだが、ボディビルダー並みにトレーニングに打ち込んでいる彼だからこそいえるセリフだ。
「私はこれまでずっと体づくりに励んできた。だが、自分がボディビルダーだとは思っていない。ボディビルダーはステージに立ってポージングをする。そんなことができる人は最高に尊敬するが、私のすることではない(笑)。私には違った“ステージ”がある。プロレスの世界でも大きいことが求められるが、それは単に体が大きいというだけではない。精神的にも大きいことが求められるのだ」
ビンス・マクマホンのトレーニング
マクマホンは週に4日トレーニングを行い(仕事のスケジュールによって変わることもある)、各ボディパートを週1回の頻度で鍛えている。どのボディパート にも「重いウェイトで鍛える週」と「軽めのウェイトで鍛える週」を交互に設定している。カーフは週の3日めのトレーニング日に鍛え、腹筋は週に2回鍛えて いる。
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1日め:胸、上腕三頭筋
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重いウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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バーベル・ベンチプレス
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5
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10、8、6、3、2
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ハンマーストレングス・インクラインプレス
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3
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10、8、8
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ペックデックマシーン
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3
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10、10、10
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リバースグリップ・スミスマシーン・ベンチプレス
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3
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10、10、10
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ディップスマシーン
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3
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12、12、12
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ケーブル・トライセップスプッシュダウン
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3
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12、12、12
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軽めのウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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インクラインダンベル・ベンチプレス
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5
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15、12、10、10、10
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インクラインスミスマシーン・ベンチプレス
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4
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10、10、10、10
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バーベル・ベンチプレス
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4
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10、10、10、10
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ライイングダンベル・トライセップスエクステンション
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3
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10、10、10
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ケーブル・トライセップスプッシュダウン
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3
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15、15、15
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ダンベル・トライセップスキックバック
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3
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15、15、15
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2日め:背中、上腕二頭筋
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重いウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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ラットプルダウン
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4
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15、10、8、8
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ベントオーバーロウ
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4
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15、10、8、6
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ハンマーストレングス・ラットプルダウン
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3
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10、10、10
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シーティッド・ケーブルロウ
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3
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10、10、10
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バーベル・バイセップスカール
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3
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10、10、10
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EZバー・プリチャーカール
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3
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10、10、10
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スタンディングダンベル・バイセップスカール
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3
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10、10、10
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軽めのウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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チンニング(次のエクササイズとスーパーセットで)
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4
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10、10、10、10
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ラットプルダウン
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4
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10、10、10、10
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ワンアーム・ダンベルロウ
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3
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10、10、10
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ワンアーム・ラットプルダウン
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3
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10、10、10
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ハンマーストレングス・シュラッグ
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3
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10、10、10
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スタンディングダンベル・バイセップスカール
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3
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10、10、10
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マシーン・プリーチャーカール
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3
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10、10、10
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スタンディング・ケーブルカール
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3
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10、10、10
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*マクマホンはセットごとにピラミッド式に使用重量を増やすようにしている。
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3日め:三角筋
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重いウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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ダンベル・ラテラルレイズ
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3
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10、10、10
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バーベル・ショルダープレス
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3
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10、10、10
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リアデルト・フライマシーン
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3
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15、15、15
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軽めのウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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ケーブル・ラテラルレイズ
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3
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10、10、10
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ハンマーストレングス・ワンアーム・ショルダープレス
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3
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10、10、10
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ワイドグリップ・アップライトロウ
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3
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10、10、10
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4日め:脚
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重いウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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レッグエクステンション
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3
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15、15、15
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セーフティバー・スクワット
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4
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10、10、10、10
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レッグプレス
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5
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8、8、8、8、8
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ライイング・レッグカール(次のエクササイズとスーパーセット*で)
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4
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15、15、15、15
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ルーマニアンデッドリフト
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4
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15、15、15、15
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軽めのウェイトを使う日
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エクササイズ
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セット数
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レップ数
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シーティッド・レッグカール
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6
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15、15、15、15、15、15
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レッグプレス
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5
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10、10、10、10、10
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ステーショナリーランジ
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3
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10、10、10
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レッグエクステンション
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3
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15、15、15
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*マクマホンはセットごとにピラミッド式に使用重量を増やすようにしている。
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© 2012 xfit—体づくり、フィットネスのためのトレーニング・栄養情報より転載
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