転倒の3パターン
「転倒」と一口に言っても、さまざまな転び方があり、大きく分けると「前転び」(前方への転倒)、「横転び」、「後ろ転び」の3パターンになります。
DeGeodeら(2003)は、高齢者の転倒事例のうち、男女とも約60%が「前転び」で、「横転び」と「後ろ転び」がそれぞれ約20%ずつであると報告しています。
それに伴う外傷として、上腕骨の骨折と、大腿骨の骨折がそれぞれ同じくらいの頻度で発生し、首・体幹部の骨折と続きます。
転んだときに、最初に衝撃を受け止める部位としては、手または上腕が40〜50%と最も多く、臀部が約20%、頭部が男性で約10%、女性で約20%となっています。
これらのことから、高齢者の転倒では「前転び」が圧倒的に多く、「上腕と肩でいかに上手に衝撃を吸収できるか」ということが最終的な危険回避の点で重要なことがわかります。
同時に、そのような場合に、容易に骨折しない上腕骨をつくっておくことも重要となるでしょう。
(④へ続く)
石井直方 東京大学大学院教授 理学博士
Kentaiニュース197号(2011年11月発行)より転載
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