「腹部の脂肪を落とす」という腹筋マシーンの広告をよく見聞きするだろうが、理論的には「部分やせはできない」とされている。「部分やせ」とは大腿や腹部など、体の特定の部分の脂肪だけを落とすことだ。だが運動時に使われるのは体の一部の脂肪ではなく、全身の脂肪細胞から引き出された脂肪だ。したがって部分やせは不可能だというのが科学の世界の定説となっている。
ところがコペンハーゲン大学(デンマーク)の研究で、これまでの常識が覆される結果が出ている。この研究報告を以下に紹介しよう(2006年の『American Journal of Physiolgy』誌より)。
皮下脂肪の燃焼は?
この研究では、大学生の年代の男性10人を被験者として、軽いウェイトで片脚だけのレッグエクステンション(膝の伸展)を30分行わせた。そして大腿部の皮下の脂肪細胞への血流量と、その部分の脂肪細胞から放出された脂肪の量(分解された脂肪)を左右の脚で比較した。
その結果、皮下の脂肪細胞への血流量も脂肪分解も、運動をしている脚のほうが上まわった。つまり、トレーニングしている部分の脂肪細胞のほうがより多く燃焼されていると考えられる結果となったのだ。
データで比較
下のグラフは、動かしていない側を基準として、運動している脚のほうが脂肪分解量、血流量で上まわった比率を示したものだ。
やせたい部分をターゲットに
この研究では、従来の定説を覆す結果が出た。ただし、部分やせが可能であると断定し、さらにそのための最も効果的な運動強度を設定するには、さらなる研究が必要だ。しかし、この研究で得られた成果は今すぐ活用してみるといいだろう。
実験では軽いウェイトで30分動作を続けているので、高レップで、セット間の休息時間をごく短く抑えるようにしよう。腹部の脂肪を減らすためには、ごく短時間の休息時間をはさみながら20〜30分、腹筋のトレーニングを続ける。より効果をあげるためには、その後にエアロビックトレーニングを行い、脂肪細胞から放出された脂肪をしっかりと燃やすようにしよう。
コメントをお書きください