ファンクショナル・トレーニングの効果と体づくりのプログラムへの導入法 Q 最近、ファンクショナル・トレーニングという言葉をよく耳にしますが、どういうトレーニング方法なのでしょうか? 筋肉づくりをめざす人にとってはどんな利用価値があるのでしょうか? A ファンクショナル・トレーニングとは、スポーツや運動の実際の動きに則した形で行うトレーニング法で、筋力やコーディネーション(動作の協調性)能力を高める目的で行う。体の安定性やバランス能力を向上させるので、このタイプのトレーニングは体幹の筋群(いわゆる「コア・マッスル」/体を安定させ、支持する働きをする腹筋や下背部、股関節の筋群)の強化に大きな効果をあげる。 一般的なファンクショナル・トレーニングでは、エクササイズ・ボールやバランス・ボード、メディシンボール、チューブ、ミニトランポリンといった器具が使われることが多い。エクササイズとしては、バランス・ボード上で行うスクワットや、エクササイズ・ボール上で行うダンベル・エクササイズ(たとえばショルダー・プレスなど)をはじめ、いろいろな種類がある。簡単にいえば、ファンクショナル・トレーニングとはスポーツやトレーニングの一般的な動作に、バランスという要素を取り入れたものということもできる。 研究結果から ファンクショナル・トレーニングの有効性は研究で裏付けられている。そうした報告のひとつに、マサチューセッツ州の研究グループから発表されているものがある。エクササイズ・ボール上でクランチの動作を行った場合、床の上で行う場合に比べて腹筋と下背部の筋群の活動量が大きくなり、バランス能力が向上したという。このことは、スペインで行われた研究でも同様の結果が認められている。 また、膝の伸筋と屈筋のトレーニングを安定した動作面、または不安定な動作面で行わせて(後者がファンクショナル・トレーニング)、バランスと安定性の向上に対する効果を調べたドイツの研究では、どちらのグループとも筋力が向上したが、ファンクショナル・トレーニングを行ったグループのほうが、左右の筋力の差が少ないという結果が得られている。 体づくりのトレーニングへの導入法 ボディビルダーや筋肉づくりをめざす人の場合、ファンクショナル・トレーニングは量を制限してプログラムに取り入れるようにしてみよう。ターゲットを決めて利用することで、体幹の安定性を高めるとともに、筋-神経系のコーディネーション(各筋群を協調して働かせる能力)も向上させることができる。その結果、筋肉をさらに大きくする効果が期待できる。 ファンクショナル・トレーニングを体づくりのプログラムに導入する場合の例として、以下の3つの方法があげられるだろう。 ●週に1日、ファンクショナル・トレーニングのエクササイズを中程度の強度で行う。 ●ウエイト・トレーニングのウォームアップとして、軽いウエイトを使ってファンクショナル・トレーニングのエクササイズを行う。 ●特定の筋群のワークアウトの最後に、仕上げとしてファンクショナル・トレーニングのエクササイズを数セット行う。
ティモシー・C・フリッツ Timothy C.Fritz, CSCS
[『マッスル・アンド・フィットネス日本版』2005年3月号にて掲載]
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