減量には食事制限よりも、筋肉をつけて代謝を高めることがポイント トレッドミルで1.5km以上も走ったのに、マシンの表示を見ると、燃焼されたカロリーはたったの80kcalちょっと……。ショートケーキ半個のカロリーにもならないのを見て、がっかりしたことはありませんか? この程度しか消費できないのなら運動してもムダ、食べる量を減らすほうがいいと思ってしまうかもしれません。でも、ほんとうにそうでしょうか。 確かに数字だけを見ると、運動によって消費されるカロリーはとるに足りないように思えるかもしれません。たとえば体重約55kgの女性なら、間食のアイスクリーム(350kcalのもの)を消費するには、ハイキングなら52分歩き続けなければなりません。昼食で摂ったスパゲッティーが900kcalで、これをウエイトトレーニングで消費するには、3時間以上行う必要があります。 「運動による消費カロリー」の数字を知ると、なぜダイエットに運動がすすめられるのか疑問にさえ思えるかもしれません。 しかし運動は、体重コントロールのカギをにぎる重要な要素です。運動を行うかどうかで、余分な体脂肪を落とせるのか、減らした体重を維持できるのかどうかが左右されるのです。 コロラド大学の研究で、運動を行っていた被験者が運動量を減らし、その分、食べる量も減らしたけれど(1日に400kcal分の運動をやめ、同時に食事も400kcal減らした)、安静時基礎代謝(生命を維持するのに必要な最低限のエネルギー量)が1日あたり約100kcal低下したことが報告されています。減らした運動量と同じだけ摂取エネルギーを落としても、「相殺」はされなかったわけです。 つまり、食べたいものを我慢すれば運動しなくてもいいというわけにはいかないのです(基礎代謝が低下すると消費エネルギーが減り、体重が増えやすくなる)。 さらに、運動しなくてすむように食べる量を減らし、摂取エネルギーを制限すると、ビタミンやその他の重要な栄養素が十分に摂れなくなるという問題も出てきます。 食べたいものをあきらめたうえ基礎代謝の低下を招くよりも、少しばかり運動を行うほうがずっと得策なのです。 体を“体脂肪燃焼モード”にする 「運動する」といっても、疲れてへとへとになるほど行う必要はありません。ダイエットを行いながら低強度(最大心拍数*の40%)の運動を週4回行ったところ、ダイエットを行う前の脂肪燃焼(代謝)のペースが維持されたが、運動を行わずにダイエットのみを行ったグループは脂肪代謝が低下し、体重が増えやすい状態になったというオランダの研究があります。つまり強度の低い運動でも、食事制限と合わせて脂肪の燃焼を進め、減量を進める効果が得られるのです。 筋肉がつけば、代謝がアップ 減量を進めるうえで運動が重要となるのは、筋肉がつくことでエネルギー消費が増えるという利点があるからです。ウエイトトレーニングは運動でエネルギーを消費するだけでなく、筋肉がつくことによって代謝が高まり、その分、余分なエネルギーが燃焼されるようにもなるのです。筋肉が増えたおかげで1日に100〜200kcal多く燃焼できれば、その分だけ多くカロリーを摂っても、体脂肪は増やさずにすむことになります。 運動は実際、体脂肪を燃やすための最良の手段となります。激しい運動を疲れ果てるまで行う必要はなく、最大心拍数の40%を越える程度でいいのですから、友人たちとおしゃべりを楽しみながらトレッドミルで歩けばいいのです。そしてウェイトトレーニングも行って筋肉もつければ、基礎代謝が高まり、「寝ている間も脂肪燃焼を進める」ことができるようになります。 運動を継続して行うようにしましょう。中程度の強度の運動を週に数回行い、同時に食事にも注意を払うようにすれば、空腹感にさいなまれずに、健康で引き締まった体をつくり、維持することができます。 運動で消費するには? 間食などに食べるもののカロリーと、それを消費するために必要な運動時間をあげてみよう。
*1 上記は平均的なカロリー。製品によって異なるので、ラベルに表示されている数字を見てチェックすること。 ベティ・ウイダー Betty Weider |
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